『愛という名のもとに』の挿入曲は、好きだったのにいつも思い出せない

『愛という名のもとに』(1992年)はフジテレビで放送された木曜夜10時枠の連続ドラマである。『東京ラブストーリー』(1991年)の成功によって一気に時代の象徴となった鈴木保奈美が主演を務め、勢いそのままに挑んだ作品。いま振り返ると、月9ではなく木10という点は意外だった。記憶がすりかえられていたか。共演は唐沢寿明。初めて見た印象は「誰だ、この真面目くさった顔の俳優は?」というもの。ここまで活躍するとは想像していなかった。

『東京ラブストーリー』は主題歌が衝撃的、電車内の風景を思い出す

『愛という名のもとに』は「もう一度見たいランキング」の10本に入るか

『東京ラブストーリー』の記憶はほとんど残っていないが、『愛という名のもとに』は断片的ながら確かな感触を伴って思い出される。はっきりと好きだったドラマといえる。もし「もう一度見たいドラマランキング」を作るなら、10本の中に入れるかもしれない。

『愛という名のもとに』には最重要回を見逃してしまった後悔がある

当時、ドラマはビデオデッキに予約録画してから見ていたと思う。毎週欠かさず見ていたはずなのに、たった一度だけ逃してしまった回がある。それが最終話直前の第11話。原因は覚えていないが、プロ野球中継の延長が影響したのかもしれない。ネタバレはしない主義なので詳細には触れないが、この回は物語のクライマックスともいえる重要なエピソード。中野英雄が演じるチョロが関わる有名なシーンがあり、ドラマ史に残る場面として語られることも多い。ファンでありながら、その決定的瞬間を放送当時に見られなかったことはいまでも後悔している。予告編かバラエティ番組で放送された名シーンの中で見たと思うので内容自体は知っている。それでも、あの瞬間を当時の空気感で体験できなかった事実は埋まらない。こうした取りこぼしはその後もたまにあるが、『愛という名のもとに』は痛かった。

浜田省吾との出会いは『愛という名のもとに』だった

さて、話題を音楽に戻そう。『愛という名のもとに』では浜田省吾の楽曲が数多く使用されている。主題歌『悲しみは雪のように』はドラマを越えて90年代を代表するヒット曲として知られている。しかし、僕が強く惹かれたのはドラマと同名の楽曲『愛という名のもとに』であった。当時、浜田省吾という名前は知っていたが、積極的に曲を聴いてはいなかった。このドラマを通して、彼の音楽の世界観を初めて体感した。不器用ながら優しさを感じる。その感触がドラマの人間関係や葛藤とほどよく合っていた。

カラオケでは半信半疑でリクエストボタンを押していた記憶がある

『愛という名のもとに』という曲は、いつもタイトルが思い出せない。メロディは浮かぶのに、曲名だけが抜け落ちる。実はこの記事を書くにあたっても思い出せなかったほどである。当時、カラオケに行くと、複数の知人が浜田省吾の『悲しみは雪のように』を歌っていた。みんなの定番曲だった。一方で『愛という名のもとに』を歌う人は一人もいなかった。酔っぱらった僕は曲名を思い出せないまま浜田省吾の曲名欄を眺め、「『愛という名のもとに』だったかな…」と半信半疑でリクエストボタンを押していた記憶がある。この曲が場を盛り上げることはなかったが、いま振り返るとそれも含めて懐かしい。なぜこの曲は歌われなかったのかな…。

『愛という名のもとに』は90年代の記憶を静かによみがえらせる一曲

『愛という名のもとに』は人間関係の痛みや未熟さを真正面から描いた作品である。そして同名の楽曲がどのシーンで使われていたかは覚えていないが、その空気感をとらえていた。主題歌ほどの知名度はないが、ドラマを見ていた者の記憶には刻まれていたと思う。この記事を書いたので、もうこの曲名を忘れることはないだろう。『愛という名のもとに』はそんな位置づけの名曲であり、90年代ドラマの記憶を静かによみがえらせる一曲なのである。

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けんぞう

ドラマと音楽が大好きなおやじ。放送当時のことを思い出し、ゆるーく楽しみながらドラマで使われた音楽について綴っていく。

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